パーソナライズ

カテゴリ: 観光DX・テクノロジー

パーソナライズとは

画一的なサービスではなく、旅行者一人ひとりの属性、趣味嗜好、行動履歴に合わせて、最適な情報や体験を提供することです。従来のマスメディアによる観光PR(誰にでも同じ情報を発信)から、One to Oneマーケティングへの転換を意味します。「日本のどこに行けばいい?」ではなく、「**あなたなら**ここに行くべき」という提案が求められています。これを実現するのはデータとAIです。Webサイトの閲覧履歴、位置情報、購買データなどを統合し、その人が「歴史好き」なのか「食通」なのか「アウトドア派」なのかを分析し、旅の全工程(タビマエ・ナカ・アト)で最適なレコメンドを行い、満足度を最大化します。

最新動向 (2024-2025年)

2024年は、Cookie規制(3rd Party Cookieの廃止)への対応として、自社で保有するデータ(1st Party Data)の重要性が高まりました。各観光事業者は、独自のアプリや会員プログラムを通じて顧客と直接つながり、許可を得た上でデータを収集・活用しようと躍起になっています。2025年は、生成AIとの融合により、「超パーソナライズ(Hyper-Personalization)」の時代に突入します。例えば、AIが旅行者のSNSの過去の投稿を分析し、「あなたは3年前に京都で食べた湯豆腐を絶賛していましたが、今回はその店の料理長が独立して出した新しい店に行ってみませんか?」といった、まるで親友のような提案が可能になります。

AI・テクノロジーとの関わり

私は、あるDMO(観光地域づくり法人)のCRMシステム構築に関わりました。そこでは、アプリをダウンロードした観光客に対し、AIがリアルタイムでプッシュ通知を送る仕組みを作りました。例えば、20代女性で「スイーツ好き」とタグ付けされたユーザーが特定のエリアに入ると、「徒歩3分のカフェで、限定パフェが今なら並ばずに入れます」と通知します。一方で、50代男性で「歴史好き」なユーザーには、「近くの寺院で特別公開が始まりました」と通知します。同じ場所にいても、人によって受け取る情報が全く違うのです。この仕組みにより、アプリユーザーの周遊スポット数が平均1.5倍に増加しました。

トラブル・失敗事例

パーソナライズの行き過ぎは「気味悪さ(Creepiness)」につながります。「なぜ私の居場所や好みを知っているの?」と、監視されているような不快感を旅行者に与えてしまっては逆効果です。プライバシーポリシーの明示と、データの利用目的への同意取得(オプトイン)は必須です。また、「フィルターバブル」の問題もあります。AIがその人の好みそうな場所ばかりを提案するため、偶然の出会いや新しい発見(セレンディピティ)が失われ、旅の醍醐味が損なわれる可能性があります。あえて「好みを少し外した」意外性のある提案を混ぜるアルゴリズムの調整など、人間味のある設計が求められます。

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