VR/AR技術
VR/AR技術とは
VR(仮想現実)やAR(拡張現実)などのXR技術を活用した観光体験のことです。現実の風景にデジタル情報を重ね合わせるARは、城跡などの史跡観光で「かつてここに天守閣があった姿」をスマホ越しに再現するなど、視覚的なガイドとして定着しています。一方、VRは、身体的なハンディキャップなどで来訪が困難な人向けの「バーチャルツアー」や、旅マエにおける下見(プレビュー)として活用され、来訪意欲の喚起に役立っています。また、メタバース(仮想空間)上に観光地を再現し、世界中の人がアバターで交流するイベントも開催されており、物理的な距離を超えた新しい観光の形として注目されています。
最新動向 (2024-2025年)
2024年のApple Vision Pro等の高性能デバイスの登場により、XR体験の質が劇的に向上しました。「没入感(イマージョン)」がキーワードとなり、単に見るだけでなく、触覚スーツなどを組み合わせた五感で感じるバーチャル観光の研究も進んでいます。また、VPS(Visual Positioning System)技術の進化により、街全体をAR空間化する「都市型AR」が実用化されています。例えば、新宿の街中でスマホをかざすと、空間に巨大なゴジラが現れたり、空中に道案内矢印が浮かんだりするコンテンツです。2025年の大阪・関西万博では、リアル会場とバーチャル会場を融合させた大規模な実証が行われる予定です。
AI・テクノロジーとの関わり
AIとARの融合が加速しています。カメラに映った花の名前をAIが即座に教えてくれたり、飲食店の看板を認識してメニューや口コミをAR表示したりする「Googleレンズ」のような機能が、観光ガイドアプリに組み込まれています。私が体験したある博物館のARガイドでは、AIキャラクターが展示物の前で解説をしてくれるのですが、こちらの質問(音声)に対してリアルタイムで答えてくれる対話型でした。「この刀は誰が使っていたの?」と聞くと、「これは織田信長が...」と答えてくれるのです。一方通行の解説ではなく、インタラクティブな学びの体験を提供できるのが、AI×ARの強みです。
トラブル・失敗事例
「歩きスマホ」を誘発するリスク管理が重要です。ポケモンGOのブーム時に問題になったように、AR画面に夢中になって観光客同士が衝突したり、立入禁止区域に入り込んだりする事故が懸念されます。コンテンツ利用時に「立ち止まって操作してください」と警告を出したり、GPSで危険エリアでは機能しないように制限(ジオフェンシング)をかけたりする対策が不可欠です。また、VR体験を作り込みすぎて、「バーチャルで満足してしまい、実際に行かなくてもいいや」となってしまう「代替効果」のリスクもゼロではありません。あくまでリアルの旅への誘い水(ティーザー)としての設計が必要です。