地方分散化

カテゴリ: 観光施策・戦略

地方分散化とは

東京、京都、大阪などのゴールデンルートに集中しすぎている外国人観光客を、地方(地方部)へ誘導する政策です。オーバーツーリズムの解消と、地方経済の活性化(地方創生)という「一石二鳥」を狙うものです。地方には、手つかずの自然、独自の食文化、伝統的な生活様式など、都市部にはない「本物の日本」が多く残されており、これらが体験型観光(コト消費)を求める今の外国人旅行者のニーズと合致しています。課題は、二次交通(空港・駅からの移動手段)の不足と、情報発信力の弱さ、そして多言語対応の遅れです。これらを解消し、地方ならではの魅力を磨き上げることが求められています。

最新動向 (2024-2025年)

2024年、観光庁は「地方における高付加価値なインバウンド観光地づくり」として11のモデル地域を選定しました。北海道の道東エリア、鹿児島・屋久島エリア、北陸エリアなどが重点支援を受けています。2025年に向けては、新幹線網の延伸(北陸新幹線敦賀開業など)を生かした広域周遊ルートのPRが強化されています。また、アドベンチャーツーリズム(AT)の世界大会が北海道で開催されたことを契機に、欧米豪の富裕層が好むAT商品の開発が各地で進んでおり、地方の自然資源が「稼げる資源」へと変わりつつあります。

AI・テクノロジーとの関わり

地方分散の鍵は「知られていない魅力を届けること」です。ここでもAIレコメンドが役立ちます。「京都のような古い町並みが見たい」という検索に対し、AIが「京都は混んでいますが、石川県の金沢や、岐阜県の高山、あるいは福岡県の秋月なども素晴らしいですよ」と代替案(オルタナティブ)を提示することで、人の流れを変えることができます。また、MaaS(Mobility as a Service)の導入により、地方の不便な交通(バスやタクシー)をスマホ一つで検索・予約・決済できるようにする取り組みも、AIによるオンデマンド交通システム(乗り合いバスの最適ルート生成)とセットで進められています。

トラブル・失敗事例

地方分散を焦るあまり、ターゲットを絞り込めていない事例が散見されます。「誰でもいいから来てほしい」と総花的なPRをした結果、誰の心にも響かないという失敗です。また、一過性のイベントや補助金で一時的に人を集めても、リピーターにつながらず、財政を圧迫するだけになった自治体もあります。ある田舎町では、インバウンド誘致のために高額なモニュメントを作りましたが、何の関係もないオブジェだったため、観光客からは「意味不明」と失笑され、住民からは「税金の無駄遣い」と批判されました。地域の文脈(コンテキスト)を無視した開発は失敗します。

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