一人当たり消費額

カテゴリ: 市場分析・統計

一人当たり消費額とは

訪日外国人旅行者一人あたりが、一回の旅行で使う金額の平均値です。「インバウンド消費=客数×単価」の方程式において、「単価」を高める取り組みの成果指標となります。2024年、政府目標であった「一人当たり20万円」を大きく超え、22万円台を記録しました。これは円安の影響もありますが、体験型コンテンツの充実や高価格帯サービスの供給が増えたことも寄与しています。しかし、上澄みの富裕層が平均を引き上げている側面もあり、中間層の財布の紐をどう緩めるかも課題です。お土産(モノ)だけでなく、飲食や宿泊、体験(コト)にバランスよくお金を使ってもらうことが、満足度と消費額の両立につながります。

最新動向 (2024-2025年)

2024年のトレンドは「ラグジュアリー体験への二極化」です。超富裕層向けの1泊数百万円のプランが売れる一方で、節約志向の旅行者(バックパッカー等)も根強く、消費の二極化が進んでいます。2025年に向けては、「健康・ウェルネス」や「学び」への投資が増えると予想されます。日本の高度な医療検診を受ける医療ツーリズムや、禅や武道を通じた精神修養プログラムなど、自己投資としての観光消費です。これらは単価が高く、かつ満足度も高いため、一人当たり消費額を押し上げる要因となります。

AI・テクノロジーとの関わり

AIを活用した「クロスセル・アップセル」の自動化が、客単価向上の切り札です。ホテルの予約時に、AIが「この部屋を予約した人は、こちらのディナーコースも予約しています」とレコメンドしたり、現地でアプリを開いたタイミングで「今ならVIPラウンジが半額で利用できます」とプッシュ通知を送ったりすることで、ついで買いを誘発します。実際、ある旅行予約サイトでは、AIによる動的なパッケージ提案(航空券+ホテル+アクティビティ)を導入した結果、一人当たりの決済額が15%向上しました。AIは「押し売り」と感じさせずに、顧客にとってメリットのあるタイミングで上位商品を提案する「気の利いたセールスマン」の役割を果たします。

トラブル・失敗事例

単価を上げようとして、中身のない値上げを行うことが最大の失敗です。「観光地価格」として、ペットボトルの水を500円で売るような商売は、SNSで即座に拡散され、「ボッタクリの国」というレッテルを貼られます。また、高額なツアーを造成したが、販売チャネルまでの動線が設計されておらず、誰にも知られずに終わったという事例も多いです。富裕層は一般の予約サイト(OTA)ではなく、専門のコンシェルジュや紹介で旅行を決めることが多いため、ターゲットに届くマーケティングチャネルを選定できていないことが敗因です。「良いものを作れば高く売れる」というプロダクトアウトの発想ではなく、誰にどう届けるかというマーケットインの視点が不可欠です。

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